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zoom RSS 財産分与 2分の1ルールだけでは解決できないケース

<<   作成日時 : 2016/05/28 09:58   >>

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財産分与は折半が原則であるが、例外もある。というのは、2分の1ルールは夫婦が対等の能力を有することを前提としているが、例えば卓越したスポーツ選手とか著名な実業家で、その能力により莫大な資産を築いたときは、この2分の1ルールは適用されない。これは、2分の1ルールの根拠から導きだされる例外である。

しかし、それ以外は、2分の1である。たとえ、離婚請求する夫に不倫等の相当な落ち度があり、一方、離婚請求される側の妻は、経済力・生活力がなく、しかも、病弱だなんてときでも、基本的には2分の1ルールが適用される。時には、妻に過酷な結果になることもあるが、現在の家裁は、こういう点は、結構、クールである。昨今は、慰謝料金額は低く押さえられているし、扶養的財産分与に至っては、きわめて消極的だ。

しかし、「これでは、いくら何でも酷だろう」というときは、たまに「大岡裁き」みたいな判断をしてくれることがある。
浦和地判昭和60年11月29日判決がその典型で、妻は日常生活が不便な身体障がい者で、住宅の一角を貸してその賃料で何とか生活している。夫は、妻を置き去りにし、別の女と同居し、生活費も送金しない。
通常なら、「家は売って2分の1にしなさい、慰謝料はプラスしても、せいぜい300万円」というのが、家裁の判決だろう。「奥さん、大変でしょうが、がんばってね」で終わる事件である。
しかし、その裁判官は、「いくら何でも、そんな風に突き放したんじゃ、そりゃひどいだろう」ということで、扶養的財産分与・慰謝料的財産分も加味して、「家は全部、妻のもの」と判示した。
大岡裁きとでもいうべき判決だが、この判決は、かなり古い判決であることを考慮すべきである。昭和60年当時は、まだ、離婚訴訟は結構情緒っぽいところがあった。離婚に至るプロセスで、どっちが悪いかなんて、結構踏み込んで判断してくれていました。
しかし、最近の離婚訴訟は、できるだけ情緒的な分野には踏み込まないようにしているし、特に、財産分与は遺産分割みたいに数字とロジックだけで解決しようとしている。現在の家裁の傾向を考えると、こういう判決が、平成28年の、この時代にどんどん出てくることは期待薄だ。

ただ、生活力のない妻の住宅確保で、使用貸借権や賃借権を設定してくれるケースは、ままあり、ウチの事務所でも、この数年で、南関東の家裁で、子が○歳になるまで、無料で住んでいい、という判決をもらったことが2,3ある。
ただし、全て東京以外の家裁の、それも支部での判決。

ちょっと変わった例として、妻の預金残高が結婚時よりも別居時には減少していたケースで、別居時の財産から、その分を妻側のマイナス資産として考慮するという判決に出会ったことがある。例えば、妻の預金は結婚時には1000万円あったが、生活費に使い果たし別居時には0円。一方、夫は結婚時に1000万円の預金があり、別居時には2000万円に増加していた。こういうケースでは、夫の増額した1000万円を半分にするのが財産分与の常識だが、判決は、妻の預金が減少したことを重視し、1000万円のマイナスを妻の負債のように捉え、夫に1000万円の財産分与を命じている。

なお、2分の1ルールは、法律家の常識だと思っていたが、弁護士会の倒産村(倒産法部会の人たち)では、必ずしもそうではないようである。先だって、内縁の妻が内縁解消に伴い、自宅を破産直前に2分の1に変更したケースで、破産管財人が、この点を問題にしてきた。しかし、危機時の財産分与も相当性があるときは、否認の対象にならないはずで、何の問題があるのかと聞き返すと、その管財人は、「危機時の財産分与は2分の1ルールに関係なく、否認対象であり、これは倒産村では常識だ」と言う。多数の法人破産事件を扱う弊所の経験でも、こんなむちゃくちゃなことを言う管財人は初めてだが、弁護士会の倒産村では、破産財団の拡充は妻の生活保障に優先するという意見が多数意見なんだそうだ(倒産村の意見は、判例とは異なる見解ということになる。)
「家事村」の立場からすると、とんでもない意見だということになるが、立場が違えば「常識」も異なるということか。


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