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zoom RSS 「監護者の指定」に関する諸原則だけではにわかに解決しがたいケース

<<   作成日時 : 2017/08/05 15:05   >>

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親権・監護権の帰属は、ある程度、場数を踏んでいると概ね予想できる場合が多い。
監護権・親権の帰属判断には、継続性の原則・母性優先の原則・子の意思の尊重原則・比較考量の原則・奪取の違法性等があり、多くは、この原則に従って判断する。この原則を適用して、それが一つの方向を向いているなら、判断は簡単である。
例えば、妻が子供を連れてDV夫から逃げ出した、こういう場合、誰がどう考えても、親権者は妻である。DV夫が、「子育てには金がかかる。しかし、妻には経済力がない。」と言っても、「なら、アナタが、十分な養育費や婚姻費用を支払えばいいでしょう」ということになる。
ところが、この原則がぶつかり合うケースが少なくない。そうなると、どうにも判断予測がつかない場合がある。原審で勝って抗告審で負ける場合もあるし、逆の場合もある。
こういう場合は、どちらの原則をとるか、正解が無く、難しい問題である。

事例1 継続性の原則 vs 母性優先原則
まず子供が10歳未満で父方が、この1年ほど育てている。子供も、すっかり、父や祖父母になついている。しかし、その前は母が育ててきた。継続性の原則から言えば父が親権者・監護権者になる。しかし、母性優先原則から言えば、母親になる。
こういう場合、「今、父方の監護状況に問題はなく、あえて監護状況を変える理由はない」と考えるか、「子供は幼く母親のきめこまかな愛情が必要だ」と考えるか、にわかに決断できない。どちらも正解であり、どちらも間違いである。
この場合、父親が監護するに至った経緯も重視されるだろう。

事例2  奪取の違法性 vs 子の意思の尊重
父親が子供を母親から奪い去った、しかし、もともと母は子供に厳しく、子は母を嫌っている。奪取の違法性重視するなら監護権は母であり、子の意思を尊重するなら父である。
ここでも、奪取の違法性と子の意思の尊重の原則がぶつかり合う。この場合、法秩序の維持を優先し奪取の違法性を断固糾弾するか、それとも、子供の意思を尊重すべきか。
「子供は父を慕っている」と考えるか、それとも、「このような実力行使をして恥じることがない親は、親権者として失格である」と考えるか。
どちらも正解であり、どちらも間違いである。

事例3  継続性の原則 vs 子の意思の尊重
母が子供を置いて海外に行き、ずっと父が子供を育ててきた。ところが突然、母が事前の連絡もないまま、海外から帰国し、父の留守を狙って子供を連れ去った。しかし、子供は、母のもとで生活できることに喜んでいる。
子の意思を尊重するか、継続性の原則と奪取の違法性を重視するか。
どちらも正解であり、どちらも間違いである。

このように、監護者指定審判事件は、監護者指定の諸原則がぶつかり合うだけに、監護者指定諸原則だけではにわかに解決しがたい。
しかし、奪取の違法性は、最優先に考慮される傾向が明確である。
例えば、東京高裁平成24年6月6日決定事件(判時2152・44頁)は、家裁での保全処分の執行が、子が断固抵抗したため、執行不能になった事実を踏まえ、「この決定でも、やはり、子は拒否して執行は不能になるだろう、それは分かっているが、違法な奪取で作り出した現在の監護状況を認めることはできない」として、子の引き渡しを命じた原審に対する抗告を棄却している。


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