離婚・相続専門弁護士 間違いだらけの離婚・相続/

アクセスカウンタ

zoom RSS 審判だけでは解決できない子供の引き渡しの強制執行

<<   作成日時 : 2017/08/18 12:56   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

親子問題で、親権・監護権がこちらに来た。しかし、相手は引き渡さない。こういう場合は、判決や審判に基づいて、動産執行の一態様として子供の引き渡しを求めることになる。
普通、動産執行というと、自動車等の「もの」が対象だし、目的も金銭回収。純粋にお金だけの問題。ところが、「子の引き渡し」は、対象が子供であり、目的は、金ではない。おそらく、執行官の諸々の業務の中で、一番難しい執行でないか。面会交流事件を割り振られた調停委員会が、「うーん」とうなるのと同様、執行官も、「子の引き渡し」事件を割り振られたら、「うーん」とうなるだろう。
弁護士にとっても、この「子の引き渡し」は、弁護士にとって面会交流と並ぶ難問中の難問である。

まず、子の引き渡しの権利とは何かである。
この実体がはっきりしない。債務者から債権者に子供を引き渡せという権利なのか、それとも、債権者が子供を取り戻す行為を妨害しないという妨害排除権なのか。

一応は、「債権者の監護権行使を妨害しないこと」を求める妨害排除請求権というのが判例のようだが、それなら、主文は、「債務者は、債権者が子を引き取ることを妨害してはならない」という主文になるはずである。しかし、実際は、「債務者は、債権者に対し子を引き渡せ」という主文が圧倒的に多い。権利の実体と主文に齟齬がある。

なぜ、こういう齟齬が生ずるかというと、単に「邪魔しない」というだけでは不十分で、債務者の協力を求めざるを得ない場合があるし、場合によっては有形力を行使する場面も、考えられるからだ。
実際の執行場面は実に多様であり、その場面ごとに執行官の求められるものが違うから、こういう表現にして、あとは、執行官に「お任せ」ということにならざるをえないのだ。

まず執行現場に執行官が行き、簡単に、子供がこちらに来たなら、「妨害してはならない」というだけで十分である。

しかし、非監護親が、子供に対して「行くな」とは言わないまでも、明らかに非協力的で、子供が非監護親の影響を受けて、拒否しているとき(普通は、この場合が多いだろう)は、「引き渡せ」の主文でないと難しい。執行官は、非監護親に対して、引き渡しの協力を求める必用があるからである。

これに対し、非監護親自身も審判に従うことに協力的だが、子供自身の意思で断固拒否した場合は、「引き渡し義務」と明言してしまうと、それこそ、非監護親が子供を強引に抱きかかえて執行官に渡してしまうことを要求することになりかねない。こんなことをしたら、子供の心に消えることのない傷を与えてしまうことになる。

しかし、有形力の行使が絶対にだめかというと、必用な場合もある。債務者に虐待等の疑いがあり、あるいは債務者の養育環境があまりに劣悪なときは、それこそ、有形力を行使しても、引き渡しを執行することになる。
結局は、どういう態様で執行するか、どの時点で「執行不能」と判断するかは、明確で一律の基準を建てることは難しく、個々の場面で、執行官が最終判断をするしかない。そういうこともあって、「あとは執行官にお任せします」という感じで、妨害排除でありながら「引き渡せ」の主文になっているのだ。

このように「子の引き渡し」は、執行官の権限と裁量によるところが大きいが、どのような場合に執行不能になるかは、判断基準がないに等しい。個々の執行官の判断基準も違うし、何よりも、各地方裁判所の執行官室ごとに基準が違うようである。
「子供の引き渡し」という強制執行そのものに懐疑的な地方裁判所の執行官室では、あっさりと執行不能宣言をするケースもなくはないようだし、逆に、果敢に子供の引渡しに積極的な執行官室もあるという噂を聞いたことがある。

なお、現在の執行実務では、直接強制の前に間接強制をせよという間接強制前置主義は、ハーグ条約と異なり、採用されていない。お金が惜しければ子供を引き渡せという申立は、子供には、お金と自分を天秤に掛けられたように見える。どちらの結果が出るにせよ、子供には「自分を売ってお金をもうけた」と映るリスクがある。間接強制は、子供のために、できるだけ避けるべきである。

これに対し、子が債務者といる場合に限って引き渡しの執行ができるという「子と債務者の同時存在の原則」、それと「直接強制は債務者の住居とする原則」は、比較的遵守されているようであるが、この二つの原則については批判も多い。


森法律事務所は、家事事件に関しては国内有数の法律事務所です。
家事事件を常時300件以上を取扱い、量的に国内トップレベルであるばかりか、事務所全体で高度なレベルを維持し、質的にも、トップレベルと自負しています。
現に、弊所は、弊所の事例から導いた高度なノウハウを、弁護士等実務家向けの専門書籍として出版していますが、その書籍は、多くの実務家が、座右の書としており、実務家向けの指導書になっています。事務所内の集積されたノウハウが、そのまま弁護士の指南書になっている事務所は、ほかにはありません。
離婚・男女問題・遺産分割の法律相談・ご依頼を承っております。いつでも、お電話・メールをください)
http://www.mori-law-office.com/katei/index.html
http://www.mori-law-office.com/katei/custody/
http://www.mori-law-office.com/katei/menkai/
TEL:03-3553-5916



(追記)
代表弁護士森公任と副代表弁護士森元みのりで、下記の本を出版しました。是非、ご購入ください。
特に「簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集」は、現時点で8000部。計算上、全国の弁護士の4人に一人が購入した計算になります。「2分の1ルールだけでは解決できない 財産分与額算定・処理事例集」(主メンバー 森公任、森元みのり、西脇理映、舟橋史恵)は、発売初日に、いきなり800部。養育費・婚姻費用算定事例集と同じシリーズの本です。「カラー版 一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計」は、発売から暫くは、Amazon・家庭法部門でナンバー1のベストセラーを維持し、増刷をかさね、すでに第3版にはいりました。それにともない、内容の一部を加筆しています。

[専門家向け書籍]
「2分の1ルールだけでは解決できない 財産分与額算定・処理事例集」
新日本法規出版株式会社
編著/森公任(弁護士)、森元みのり(弁護士)(主メンバー 森公任、森元みのり、西脇理映、舟橋史恵)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50984.html
発売初日だけで800部!

■価格(税込):3,780円
平成29年7月発売
◆財産分与における実例を論点別に分析し、考慮要素や計算方法、解決案などを整理しています。
◆事例から導かれた、実務上の留意点を「POINT」として掲げることにより、事案解決のヒントを示しています。
◆多数の離婚事件に携わり実務に精通した弁護士が、豊富な経験を踏まえて執筆しています。

「簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集」
新日本法規出版株式会社
編著/森公任(弁護士)、森元みのり(弁護士)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50910.html
現時点で8000部。計算上、全国の弁護士の約4人に一人が購入した計算になります。

■価格(税込):3,780円
平成27年9月発売
「★適切な養育費・婚姻費用を算定するために!
◆「養育費・婚姻費用算定表」を単純に適用できない、さまざまな事情を抱えた事例を取り上げ、増額や減額の要因となる事情別に分類しています。
◆各事例では、算定上の「POINT」を示した上で、裁判所の判断やその考え方についてわかりやすく解説しています。
◆家事事件に精通した弁護士が、豊富な経験を踏まえて執筆しています。 」

「離婚慰謝料の相場観と弁護士実務の重要ポイント」DVD
森元みのり
https://www.legacy-cloud.net/ordinary_products/2390

発行元(株)レガシイ
CD・ダウンロード 5,400円 DVD8,100円
◎「慰謝料の相場はどれくらいですか?」と聞かれてパッと回答できる
◎「裁判までするか」か「早期の離婚・親権獲得」優先か、判断がつく
◎慰謝料請求の仕方、証拠収集のポイントも紹介! 
婚姻費用や養育費、財産分与と比べて、離婚に伴う慰謝料が認められるか否か、認められるとして金額は大体どのくらいになるかという点は、弁護士の先生であっても意外と迷うと聞きます。今回は、離婚に伴う慰謝料の相場と考慮要素を、不貞や暴力など類型別に解説し、依頼者に裁判をしてまで請求するかどうか決めてもらうための情報をお伝えします。また、請求や主張の仕方で気を付けるべきことや必要な証拠にも触れていきます。

「一見すると実現困難な離婚相談の解決策」DVD
森元みのり
https://www.legacy-cloud.net/ordinary_products/3055

発行元(株)レガシイ
CD・ダウンロード 5,400円 DVD8,100円
こんな相談の解決策が分かる!
●モラハラを受けているので離婚したい、慰謝料も欲
 しい。
●暴力を振るう夫から離婚したいが、逃げ出すともっと
 醜い目に遭うのではないかと不安だ。
●有責配偶者だが、離婚請求したい。
●家から一人追い出されたが、子どもを引き渡してもら
 いたい。
●父親側だが、親権・監護権を何とか獲得したい。

[一般向け書籍]
1.夫婦親子関係
「カラー版 一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計」
共同著編者 森 公任・森元 みのり
http://www.seitosha.co.jp/77_3950.html

おかげさまで第3刷にはいりました。それにともない、内容の一部を加筆しています。
販売価格 1,404円
離婚に悩むあなたの「知りたい」に応える決定版!!
「離婚という難題に直面している方の一歩を踏み出す道しるべになる本書は、離婚が認められる理由から、離婚までの準備、お金や子供についての考え方、離婚に関わるさまざまな手続きまで、離婚前後のあらゆるステージを網羅し、図解&イラストでわかりやすく解説しています! 」

2.遺産相続関係
「図解 相続・贈与・財産管理の法律と税金がわかる事典」
森 公任・森元 みのり 共同監修

三修社  定価1,944円(本体1,800円+消費税)
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4172
「人の死と同時に必ず発生する相続。相続が発生した場合の相続分、遺言、遺産分割、登記、裁判所での調停などの手続き、相続税知識まで幅広くフォローしています。また相続が発生する前から準備をしておきたい事項について、贈与税の知識や生前契約、成年後見、信託などの財産管理契約のしくみについても解説しています。
相続登記申請書、遺言状、契約書、家事調停手続きなどの書式サンプルも豊富に掲載しています。平成27年度の税制改正にも対応した安心の1冊です!」

「相続・遺言をめぐる法律と税金トラブル解決法129 」
森 公任・森元 みのり 共同監修

三修社  定価1,944円(本体1,800円+消費税)
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4116
「非嫡出子の相続分改正や
平成27年1月施行の相続税制改正など、最新の内容をわかりやすく解説! 相続の基本ルールから遺言、財産評価、遺産分割、 相続税・贈与税対策まで。法律・税金の重要事項、手続きを幅広く網羅」
【本書でとりあげる主なテーマ】
相続の基本ルール/遺産分割/遺言書の書き方/相続財産の評価/相続税・贈与税のしくみ/税金対策/相続問題をサポートする機関や相談先/公正証書作成/調停や審判の手続き/相続登記/申告手続き など「ケース別相続分早わかり」など、豊富な図解とQ&Aで相続問題を平易に解説!

「最新 図解で早わかり 改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992

三修社  定価1,944円(本体1,800円+消費税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」

3.倒産法関係
倒産法全体をコンパクトにまとめてあり、全体像を把握するのに便利です。是非、ご購入ください。
「最新 図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 ・ 森元みのり共同 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054

三修社  定価1,944円(本体1,800円+消費税)
(楽天のベストセラーで、大学でもテキストとして利用されています)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」

4.不動産法関係

重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約しました。
「図解 最新 不動産契約 基本法律用語辞典 」
森公任 ・ 森元みのり共同 監修
https://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4240

三修社  定価1,944円(本体1,800円+消費税)
重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約
売買から賃貸、相続・登記、税金まで
「難しい」「複雑」「なじみにくい」
取引の全体像と実務上重要な法律用語が短時間でわかる!

「図解で早わかり 借地借家 法」
森公任 ・ 森元みのり共同 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945

三修社  定価1,944円(本体1,800円+消費税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。

5.民事手続法のご案内
「 重要事項&用語 図解 トラブル解決に役立つ
最新 民事訴訟・執行・保全 基本法律用語辞典 」
森公任 ・森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4313

三修社
「難しい」「なじみにくい」「わかりにくい」
訴訟に勝ち、権利を勝ち取るために必要な法律や制度の全体像と知っておきたい法律用語が短時間でわかる!紛争解決に必携の書!







テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
審判だけでは解決できない子供の引き渡しの強制執行 離婚・相続専門弁護士 間違いだらけの離婚・相続//BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる