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zoom RSS 「相続させる」遺言は、一言で言うと、相続による遺贈。

<<   作成日時 : 2015/01/26 15:34   >>

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[民法の立場 特定財産の承継は、本来は遺贈]
遺言を作成する場合、特定の財産を特定の相続人に取得させようとするとき、民法が本来予定した形式は遺贈である。相続というのは本来包括的なもので、特定の遺産を特定の相続人に取得させたいときは、遺贈しなさいというのが、民法の考えである。
例えば、相続人が長男・次男の二人で、遺産がA不動産とB不動産。この場合、遺言者が、長男にA不動産を取得させ、二男にB不動産を取得させようと考えたとき、本来は、遺言者は、A不動産は長男に遺贈し、B不動産は二男に遺贈すべきである。

[遺贈とした場合のデメリット]
ところが、この遺贈だと、受贈者の権利の実現は、「遺贈の履行義務を相続した他の相続人に履行を請求する」という形になる。我々の業界用語で、「特定承継」と言われる権利移転である。しかし、相続人が応じないと権利が実現しないというのは、何かと不便である。
まず登記である。遺贈である以上、受贈者が登記権利者、他の相続人が登記義務者となり、登記は共同申請の形をとらなければならない。相続人が拒否すればお手上げである。
さらに、対抗問題も生ずる。例えば長男Aが相続登記する前に次男が法定相続分で相続登記をし、この相続分を第三者に売買した時、第三者と受贈者は対抗問題となり、先に登記したほうが勝ちとなる。
それだけではない。遺産が農地の場合は農業員会等の許可が必要になるし、遺産が借地の場合は、地主の承諾が必要になる。これらの承諾も、そう簡単にはもらえない。

しかし、遺言者の意思は、「特定の相続人に、当然に、そのまま特定の財産を相続してほしい」という意思であり、他の相続人に義務を負担させ、履行させることで権利を実現してほしいという意思は、通常はない。

[公証人実務では 相続させる遺言]
そこで、公証人実務では、永年にわたり、「相続させる」という文言を用いることで、特定の遺産を特定の相続人が、相続発生と同時に包括承継するという方法を用いてきた。特定の財産について相続人たる地位を獲得すると考えるのである。
公証人や登記所の考えでは、「相続させる」遺言の場合、相続発生と同時に指定された特定相続財産についてのみ相続人たる地位を当然に承継する。他の相続人が「相続させる義務」を相続し、その履行をすることで権利を実現するわけではない、というものである。
その結果、相続させる遺言では、相続と同時に権利を取得するから、登記は単独で行うことができ、対抗問題も生じない。農業委員会や地主の承諾も不要となる。

[相続させる遺言で遺産分割は必要か]
ただ、この「相続させる」という形式は、民法には、規定がなく、その効力をめぐって、いろいろと紛糾していた。特定財産についてのみ相続人たる地位を承継するというのは、包括的承継である相続とは矛盾するのではないかと考えられたからである。
この点を重視する人は、「相続させる遺言」でも、やはり遺贈と同様の手続きを経る必要があると解していた。

しかし、遺言者の意思は、特定の遺産を特定の相続人に、「相続」で取得させようとあることにあり、この意思を否定する理由はない。最高裁は、いわゆる香川判決で、分割方法の指定があるので、遺産分割手続きを経る必要はなく、当然に、その遺産を取得すると判断した。
これは、最高裁が、特定の遺産についても、相続人たる地位の承継を認めたもので、従来の公証人実務にお墨付きを与えたものである。
最高裁は、相続させる遺言で相続した遺産は、
「手続き」の問題は相続という形式に従いながら、「効力」の問題は遺贈と同様に扱う
と判断したのである。

[相続させる遺言と代襲相続]
実務で問題になるのは、その相続人が、被相続人より先に死亡した場合、「相続させる遺言」の効力はどうなるか、つまり、代襲相続するかという問題で、これについては、下級審の判断が分かれていたが、最高裁は、遺言の解釈の問題としつつ、代襲相続を否定した。遺贈には、代襲相続の制度がないから、当然と言えば当然の話で、最高裁はこれにより、「手続き」の問題は相続という形式に従うが、「効力」の問題は遺贈と同様に扱えという立場をより鮮明にしたと言える。

[残された問題]
最近、代襲相続に絡む問題で、2件ほど、相談を受けた。それは、
1、不動産はAに相続させる
2、その余の財産は、全てBに相続させる
と遺言した場合、Aが被相続人より先に死亡したとき、不動産は「その余の財産」に含まれてBが相続するのか、それとも「遺言の指定がない相続財産」として扱うのかという問題である。
高裁レベルでは、遺言の指定がない財産として扱うとするのが主流である。最高裁の判断はまだないが、「効力に関しては遺贈と同様に扱う」という観点からすれば、「遺言の指定がない財産」として扱うことになるだろう。


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内 容 ニックネーム/日時
いつも読ませて頂いております。本当にすばらしい記事ばかりです。
ところで、農地の特定遺贈については、昨年、改正されております。(農林水産省令第六十号)
g-syosi
2015/04/20 06:43
「相続させる」遺言は、一言で言うと、相続による遺贈。 離婚・相続専門弁護士 間違いだらけの離婚・相続//BIGLOBEウェブリブログ
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