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zoom RSS 相続後、相続不動産を勝手に売却した場合と預金を勝手に解約した場合

<<   作成日時 : 2017/03/17 09:08   >>

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設例1
被相続人の不動産があり、相続人は、長男A・二男B・三男Cの3人で、長男Aは、単独で3人の共有に法定相続分で相続分登記をしている。
この場合は、Aが、他の2名の了解を得ることなく、Aの持ち分を第三者Dに売却した
というケースを考えよう。

まずAの共有持分譲渡そのものは、遺産分割前といえども有効である。というのは、未分割とはいえ、Aは、遺産である不動産に法定相続分の共有持ち分を有していることは、通常の共有と同じだからである。ただ、その共有形態が通常共有ではなく、遺産共有という特殊な共有形態という点の違いしかない。
(この時点では、具体的相続分で共有されているのではなく、法定相続分の共有状態にあることに注意する必要がある。相続財産は,相続開始によって,いったんは共同相続人にそれぞれの法定相続分に応じて共有され、家裁の遺産分割審判によってはじめて具体的相続分に持ち分が変換されて分割されるからである。)
そこで、Aが、自己の共有持ち分を第三者Dに売却すれば、Dは有効に法定相続分の持ち分を取得することになる。

その結果、相続人B・Cと他人のDが、この不動産を共有することになる。

それでは、このB・C・Dの共有は、通常共有だろうか?遺産共有だろうか?
もし前者なら、不動産の分割手続は、地裁の共有物分割手続で行われることになる。しかし、相続人B・Cにとって、遺産で取得した不動産を、他の遺産と切り離して分割するのは納得できないだろう。
もし後者なら、他の遺産と含めて遺産分割手続で処理することになる。しかし、これでは他人であるDは、遺産分割手続に巻き込まれることになり、遺産分割手続が混乱することになる。Dも、他の遺産とセットでなければ分割できないとなると納得できないだろう。

最高裁は、これについて、共有状態は多次元的に捉え、Dvs相続人B・Cとの関係では通常共有であり、相続人B・C間では、遺産共有であると判示している。
まず、Dvs相続人B・Cとの関係では、通常共有であるから共有物分割をする。例えば、相続人B・Cのどちらかが代償金を支払って、Dから持ち分を取得することになる。
そして、残りの3分の2の持ち分に関しては、遺産共有であるから、他の遺産と総合してA・B・Cの三人で遺産分割を続行することになる。不動産に関して言えば、3分の2だけが遺産分割の対象になることになる。持ち分を売却したAは、その分だけ自己の相続分を減少させたから、Aの法定相続分は、全遺産の総額の3分の1から、不動産の3分の一を引いた額が相続分となる。
これに基づいて具体的相続分を算出し遺産分割をすることになる。

設例2
それでは、Aが無効な遺言に基づく等して、勝手に不動産をAの単独名義にし、これを第三者Dに売却した場合は、どうだろう?
相続は原始取得であり、相続による取得に対抗要件は不要である。従って、DとB・Cは、対抗関係に立たず、Dが登記を先にしても、Dは、Aの持ち分しか取得できない。
そうすると、これは、上記の設問と同じケースになり、Aの持ち分に関しては通常共有としてDとB・Cとの関係では共有物分割手続で処理することになり、B・Cの持ち分に関しては、遺産共有として全遺産の遺産分割手続で分割されることになる。

設例3
それでは、設例2のケースで不動産ではなく預金の場合はどうだろう?例えば、Aが、被相続人の「死後」、キャッシュカードで勝手に預金を引き出したとしよう。
この場合は、従来なら、使途不明金問題であり、訴訟で解決すべき問題であって、遺産分割で解決すべき問題ではないとされてきた。
しかし、預金が不可分資産として遺産分割の対象になるとされた現在、この問題をどのように処理すればいいだろう?(相続前の無断引き出しは、従前通り、遺産分割の問題にならないことは争いがない)。
不動産と同様に考えれば、預金引き出しは、Aの相続分についてのみ有効ということになる。しかし、残りの引き出された預金は、どう処理するか?
これは、次のように考えられる。
1.まず引き出し金額が相続分の範囲なら、引き出されなかった部分は預金として遺産分割の対象になる。
2,これに対し、引き出し金額が相続分の範囲を超えているなら、超えた部分は、どうなるだろう?
(1)不動産と同じように考えれば、相続分については、まだ預金が存在すると考えて遺産分割の対象になるはずである。
  ↓
(2)しかし、相続分を超えておろした部分は、銀行からすると非債弁済になり、銀行は、相続人に対し、免責される。
  ↓
(3)その結果、他の相続人は、相続分を超えて引き出した部分は、相続人に対し、不当利得返還請求、不法行為に基づく損害賠償を負うことになる。
  ↓
(4)合意があれば、遺産分割の対象とできるが、合意がなければ地裁で争うことになる。
  ↓
(5)つまり、預金を分割対象とした最高裁判例以前と同じ扱いをすることになる。


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